もし高校野球のキャプテンがキングコング西野さんの「魔法のコンパス」を読んだら

      2016/10/01

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Text by Hiroyuki Yanase(GM)
アスリートのためのビジネススクール by AtoEパートナーズ

 

こんにちは。柳瀬です。

 

先日、キングコング西野さんの「魔法のコンパス〜道なき道の歩き方〜」を読んだんですが、メチャクチャ視点が面白かった!一気に読んでしまいました。

こういう生き方、考え方って、すごくいいなと。
こんなにも考えている人だとは知らず、素晴らしい人です。
自らコンフォートゾーンを出て、自分だけの問いを見つけ、そこから逃げずに考え続けているからこそ、常識を超える視点が見つかるんですね。

オススメの本です。

終わり。

 

 

というわけにはいかず、

僕の場合、何かを学ぶと、いつもの思考に入るわけです。

「この考え方を野球に活かすとどうなるかな?」
想像してみました。

1冊の本の内容全てを一度に入れると、うまくまとまらない状態になってしまうので、まず第1章の「向かい風はボーナスチャンス!」の内容を野球チームに取り入れたらどうなるか、という視点で想像してみます。

「魔法のコンパス」の考え方を高校野球チームに取り入れると?<第1章>

「サヨナラー!2対3でS高校敗退!」

S高校は、夏の甲子園予選は、神奈川県大会準々決勝で敗退した。

夏の甲子園出場を目標に掲げ、取り組んできたチームは、ベスト8で終わった。

この大会で2年生にしてレギュラーで活躍し、既に監督から新チームのキャプテンに指名されている、タケルは「これで2年連続ベスト8止まり。何かが違う。このベスト8の壁を超えるために何か変わらないと。」と感じていた。

いろいろ思い悩みながら家に帰り着き、リビングのソファに座ると、
一冊の本がテーブルの上にあるのが目に止まった。

「魔法のコンパス?」

何気なく手に取って、1ページ開いてみた。

「こういう本って難しいんだよな。」

1ページ読んで閉じるはずだったのに、
なぜかわからないけど、1ページ読むと加速した。

普段活字を読むと、2、3ページで眠くなって読めないオレが。

夕食も食べず、無我夢中で読んだ。たったの3時間で1冊の本を読みきった。

「これだ。」と小さく呟いた。

 

翌日学校に行くとすぐに職員室へ行き、監督に直談判した。

「今日は僕がミーティングの進行をさせてもらえませんか?」

その日は、新チームの初日で、キックオフミーティングを行う予定だった。

監督「なんで?」

タケル「チームの良い改革案を見つけたんです。」

監督「それはオレの仕事だろ。」

タケル「・・・」

監督「まあ良い。初日だしな。お前がやれると思うんならやってみろよ。」

「どうせできない」と思っているような、皮肉な笑みを監督は浮かべていたが、
それを見て、より一層覚悟が決まった。

「やってやる」

ミーティングが始まると、監督は「今日はタケルがミーティングを進めてくれるから。」とすぐにバトンを回してくれた。

タケルは開口一番、「俺たちはこのままじゃダメだ。同じようなやり方で取り組んでも、またベスト8で終わる。甲子園に行くためには、何かを変えなきゃいけない。そのヒントがこの本にあった!」

と、魔法のコンパスを右手に掲げた。

タケル「この新チームのコンセプトはこれでいきたい。『レールからはみだせ!』だ」

全員が「ポカーン」としていたが、気にせず続けた。

タケル「今、うちのチームは、ピッチャーも守備もバッティングも走塁も全て70点のチームなんだ。総合力は確かに高い。だから、ベスト8まではいける。だけど、その先にいけない理由は、相手チームが全て80点以上だからだ。70点では、結局エラーもするし、点が入らない。」

部員「そんなこと当たり前だよ。みんな知ってる。だから、もっと練習量増やして、全部を80点以上にしろってことだろ?」

タケル「そうじゃない。全部70点にすることを諦めるんだ。70点じゃ、甲子園レベルの相手との試合では成果に繋がらない。成果が出せないんだったら結局0点と一緒だ。」

部員「じゃあ、どうするんだよ?」

タケル「それぞれ自分を進化させるために、居心地の良い所から出るんだ。自分にとって『これをやっていれば安心する』と思うものを思い切って捨てよう。オレは、バントを捨てる!」

部員「!!!?」

部員「おいおい、高校野球でバントは1番大事だろ。強いチームになればそう簡単に打てないんだからさ。」

タケル「いや、だからこそだ。オレは今まで困ったらすぐバントに頼った。ノーアウトランナー1,2塁になれば、バントのサインが出なくてもすぐにセーフティバントをしたし、正直チャンスでバントのサインが出たら安心してた。だから、オレにとってバントは逃げだ。別に武器にもなってない。そんな自分を超えるためにオレは一切バントはしない。どんなチャンスでも追い込まれた状況でも強気に打てるようになる。だから、この1年間は『バントをしないで、レギュラーとして甲子園予選決勝まで活躍し続けるためにはどうすればいいか。』という問いを考え続ける。みんなも1人1つ、居心地の良いところから出るための決断をしてくれ。」
それから、少し「魔法のコンパス」に書かれた内容を説明し、言ってることのイメージをつけてもらった上で、部員たちには少しの間じっと考えてもらった。

しばらくすると、部員の1人、ヒデから

ヒデ「じゃあ、オレは『長距離走』を捨てる!みんな走るからとりあえず走っとくか、と合わせてたけど、オレの武器は足の速さだ。とにかくこの1年間で『50m5秒台を目指すトレーニングをしながら、どうしたら野球選手としての下半身とスタミナをつけられるか?』を考える。」

ヒデが切り出すと、そこからは次々と他の部員からも、捨てる宣言が飛び出した。

「打率を捨てる!全打席長打を打てるバッターになる。」

「当てに行くだけのスイングを捨てる!全球フルスイングだ!」

「バッティング全て捨てる!キャッチャーとして無失点に抑えるリードと守備に集中する。そのかわり、打てないけどバントだけはできるようにしておくよ。」

「スピードアップを捨てる!マックス120km前半でも抑えられるピッチャーになる。」

など、各メンバーが「楽しいからやっていた」「みんながやっていたらからやっていた」そんな当たり前だったものを、自分の意志で捨てる意思決定をした。常識を疑い、自分の強みを把握した上で、新たな進化に向けて1人1人が動きだす覚悟を決めるミーティングとなった。

そして、最後には、キャプテンのタケルが更に大胆な行動に出た。

タケル「では、最後に・・・監督。監督も何か思い切って、捨ててみませんか?

監督「は?オレも?」

タケル「はい。このチームは全員がレールからはみ出さないとダメなんです。監督もお願いします。」

監督「そうか、わかった。じゃあ、今日考えて明日お前たちに伝える。」

タケル「いや、監督、僕から提案があります。監督は『怒る』ことをやめてください。

監督「はぁっ!!??」

タケル「怒るのは慣れてらっしゃるので、居心地がいい所ですよね。そこから出て更に進化していただくために、怒らないで僕たちを成長させる方法を考えてください。」

「そんなの無理だろ。お前たちが甘いから怒るんだ。」と寸前まで出かかったが、今日のタケルの気迫と何か期待を感じて、「わかった」とだけ答えた。

タケル「向かい風は消さないでください。

 

ミーティングが終わった後、監督は、タケルが影響を受けた「魔法のコンパス」を本屋で買って帰った。あれだけタケルが影響受けた本を読んでおかないと、明日以降、タケルに押されそうな気がしたのだ。

読み進めると、1章の最後には、こうあった。

「僕らには、基本的に追い風しか吹いていない。」

「あいつの最後の一言は、こういうことか。これまで、選手が野球と関係ない話を練習でしていたり、練習中にダラダラ歩いていたりしたら、すぐに怒っていたもんな。これは、向かい風を消してるってことかな。

とそっと呟いた。

「追い風をどう利用するかか。」
(続く)

 

 

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